どせいたんさき。

ナスダヨー

CCD の性能評価(読み出しノイズ編) その1

ずいぶん前に終わらせた課題だけど一応まとめておく. miniTAO に搭載する可視用 CCD カメラの性能評価(主に読み出しノイズ)について.

理論的な背景

CCD カメラは簡単に言うとカメラに入射してきた photon を電気信号に変換する装置.シャッターを空けている間に受光素子のどこにどれくらい photon がやってきたかを読み取ることで撮像する.ただ単に画像を取るだけならそれでいいのだけど,研究に使うためには読み出した電気信号とやってきた photon の数の対応を正確に知る必要がある.

読み取ったデータは fits ファイルという形式で保存される. fits ファイル上では読み取られた電気信号が int 型の整数値として保存される.この fits ファイル上での値をカウント数と呼ぶことにする. CCD カメラが受け取った photon の数とカウント数を関係付ける係数のことをコンバージョンファクタと呼ぶ. photon 数を n, カウント数を N, コンバージョンファクタを f とすると,これらは次の式によって結ばれる.

n = fN

n と N を同時に知ることができればコンバージョンファクタは簡単に計算できる.しかし, CCD カメラが受け取った photon 数を直接知る手段は存在しないのでこれ以外の式をあわせて使う必要がある.ここで,次のような仮定をする.

CCD に入射する photon の数は Poisson 分布に従う.

一定の強さの光を CCD に照射しても CCD にやってくる photon の数はある程度ばらつく.このとき,入射する photon はそれぞれ完全に独立であると考えれば,そのばらつきは Poisson 分布に従うことになる.よって,入射する photon 数のばらつき(標準偏差)を σ とすれば,

\sigma = \sqrt{n}

となる.ここで, fits ファイル上でのカウント数のばらつき(標準偏差)を Σ とすれば,

\sigma = f\Sigma

となる. n,σ は直接計測ができないので N,Σ だけの関係式にすると,

\Sigma^2 = \frac{1}{f}N

よって fits ファイル上でのカウント数とばらつきの 2 乗(分散)をプロットし,その傾きの逆数を求めることで CCD カメラシステムのコンバージョンファクタを求めることができる.


しかし実際はもう少し複雑で, CCD の読み出し回路内でどうしても生じてしまうノイズが存在する.読み出し回路内の電圧が変動してしまうことが原因であり,変動の平均値が 0 ばらつきが κ であると仮定すると CCD が読み取る photon 数のばらつき σ' はこの読み出しノイズによる影響を受けて次のような式で表される.

\sigma' = \sqrt{n + \kappa^2}

この影響を考慮に入れて,再度 N,Σ の関係式を導くと,

\Sigma^2 = \frac{1}{f}N + \frac{\kappa^2}{f^2}

となる.よって fits ファイル上でのカウント数と分散をプロットしてその傾きと切片を計算することでコンバージョンファクタと読み出しノイズを計算できる.


長くなったので今回はここまで.