どせいたんさき。

ナスダヨー

CCD の性能評価(読み出しノイズ編) その2

CCD の性能評価(読み出しノイズ編) その1 - どせいけいさんき。の続きです.

フラットなイメージの作成

前回の復習. fits ファイル上でのカウント数とそのばらつき(標準偏差)を N,Σ,またコンバージョンファクタと読み出しノイズを f,κ とするとこれらは次の式によって結ばれる.

\Sigma^2=\frac{N}{f}+\frac{\kappa^2}{f^2}

この関係を確かめるためにはグラフを描けばよい. CCD カメラに一様な光を当ててどの場所でも同じ程度のカウント数となるようなデータを作る.これをフラットイメージと呼ぶ.露光時間を変えて平均カウント数の異なるフラットイメージを取得,それぞれの画像について標準偏差を計算してプロットする.

CCD カメラに一様な光を当てるための装置は持っていないのでフラットイメージを作るためにはちょっとした工夫をする必要がある.一様な光を出す光源を散乱光によって代用することにした.具体的には次のような感じ.

  • CCD カメラに余計な光が入らないようダンボールで囲う
  • カメラの瞳に直接光が入らないようキムワイプでふたをする
  • 懐中電灯もティッシュやキムワイプでおおい光を和らげる
  • ダンボール内部に懐中電灯を倒して置く

命名,ダンボールフラット.しかし,ダンボールの淵から漏れ入ってくる光の影響や CCD イメージセンサの各ピクセルの特性の影響を考慮しなければならないのでこのままでは使用できるデータにはならない.そのあたりはちょっとしたデータ処理をする必要がある.

iraf を用いたデータ処理

ダンボールフラットに寄って取得したイメージを fits ファイルを扱うことができる解析ソフト iraf によって処理する.平均カウント数と標準偏差を計算するだけなので iraf を持ち出すまでもないのだけどプログラムを書くのは面倒なのでここはチート.

ダンボールフラットでは次のイメージを取得した.

  • フラットイメージ,それぞれの露光時間(0 - 3000 ms)にたいして 2 枚ずつ
  • ダークイメージ(漏れ入ってくる光を評価するため懐中電灯をつけないで撮像)

これらの画像(それぞれの露光時間について 3 枚)を用いて次の 2 つのイメージを作成する.


{\mathrm A}=\frac{\mathrm flat1+flat2}{2}, {\mathrm B}=\frac{\mathrm flat1-flat2}{2}

イメージ A は画像の平均カウント数を見積もるためのもの. 2 枚の平均とダークイメージとの差を計算することで懐中電灯からやってきた photon に対応するカウント数だけを抜き出す.イメージ B は標準偏差を見積もるためのもの.仮に CCD カメラに完全に一様な光を入射できたとしても,カメラの受光部(ピクセル)の特性が必ずしも一様とは限らないため fits ファイル上でのカウント数は一様にはならず,カウント数を用いてヒストグラムを描いたときそれはきれいな正規分布にはならずかなりゆがんだ形になる.

ヒストグラムがゆがんだ状態で愚直に標準偏差を計算すると,標準偏差の値がこのヒストグラムのゆがみに引っ張られて本当に見たい標準偏差(カウント数の揺らぎ,読み出しノイズ)を見ることができない.そのため,イメージ B は差をとることによって平均カウント数を 0 にしてヒストグラムの形がきれいな正規分布のような形になるようにしている.

おまけ

データの処理は異なる露光時間に対して何枚も同じような作業をおこなわなければならなかったのでネコの手を借りる. iraf には cl script という専用の言語があるのだが,この実習のためにそれを勉強する気にはなれなかったので perl を用いて代用.

#!usr/bin/perl
use strict;
use warnings;

foreach(0..30){
    print "imcombine ".($_*50)."-?.fits";
    print " ./m/".($_*50)."-m.fits \n";
};

print "logout \n";

こんな感じのプログラムを書いて iraf の実行コマンドである cl に食べさせてあげると何とか動いてくれた.もっといい方法があるかもしれないけどとりあえず今回はこれでやった.

perl ./combine.pl | cl


長くなってきたので結果は次のエントリにします.